【書籍のつくり方・基本編】「原稿執筆」で著者さんに気をつけていただきたいこと
原稿執筆のキモはスケジュール管理!
前回記事では本づくりの「企画と目次づくり」についてご紹介しました。
企画と構成がカタチになり、著者さん・編集者・出版社のあいだで確定でき、GOがでたら、ついに「原稿執筆」です。 このページでは本づくりのまさに核となるステップ「原稿執筆」について、著者さんに気をつけていただきたいことをご紹介します。
出版企画が通ったら、次は原稿執筆です。
編集者主導で企画した書籍企画の場合は、著者ありきで「この人にこういう内容で書いてもらおう!」と立てた企画でも、内容先行で「こういうものを書ける著者はいないだろうか」と立てた企画でも、いずれにせよ執筆を依頼し原稿を発注することになります。
論文集などのように、すでに著者さんがある程度書き上げているものをまとめて出版するという案件もあります。また、著者さんが持ち込んだ企画で、これから執筆を始めるというものもあるでしょう。企画段階でどのように煮詰めているかにもよりますが、多くの場合、すでに原稿があったとしても、加筆修正を施したり、書き下ろしを加えることになります。
著者さんは、企画段階で作成した目次案に則って、全体の構成を組み立てながら執筆していくことになります。企画内容に即したものを書くことが求められるのはもちろんですが、ここで重要な要素となるのはスケジュール管理です。
編集者の立場としては、締め切りを設定し、適宜リマインドし、かつ著者の気持ちを挫くことのないように注意しながら、制作を進行していく必要があります。
(ただし、実際には著者さんの執筆が止まってしまい、制作途中で企画がストップしてしまう案件があることも事実です。)
一番重要なのはもちろん内容。ただし見せ方も大事です。
執筆に当たっては、企画を考えたときにイメージしていた読者にとって「わかりやすく役に立つもの」となるように、想定読者に語りかけるように内容を組み立てていくことが重要です。
著者さんだけが理解できるような独りよがりの原稿は、読者一般にとっては役に立たないものでしかなく、その書籍を手にしたとしても、最後まで読まれることはないでしょう。
原稿執筆で重要なことは、企画内容に即して、読者に向けてロジックを丁寧に積み重ねていくことです。(もちろん書籍によっては、こういった丁寧な執筆が求められないジャンルもありますが、少なくとも一般販売を前提とした書籍を作るからには、「伝える・伝わること」が最重要だと私たちは考えています。)
一方で、内容の組み立て方とは別に、文章の書き方の基本的な決まり事を守って書くことも大切なことです。
主語と述語がちゃんとある、わかりやすい、読みやすい、といったことは、文章を書く上で最低限必要な要素です。とりわけ読みやすさに関係するのは「語句の表記」にまつわる事柄です。出版物において、統一された表記や言葉遣いを規定するマニュアルを「スタイルガイド」と言います。
報道関係者などのプロが文章を書く際のスタイルガイドとして広く浸透しているのが、共同通信社の『記者ハンドブック』です。この語句については漢字とひらがなとどちらで書くのが通例か・望ましいか、正しいかな遣いや送りがなはどれか、修行と修業など同音異義語をどう使い分けるのか、など、読みやすい文章を書くための資料として大いに参考となることでしょう。
ただし、最初から『記者ハンドブック』のルールを守らなければ、、と意識しすぎるあまり、文章を書くことがストレスになってしまっては元も子もありません。表記が統一された文章は確かに読みやすいのですが、必ずしもこれが正解、というルールはありません。スタイルガイドは頭の片隅には置きながらも、丁寧に伝えることを意識するのがよいのではないでしょうか。
また、多くの出版社が「自社の出版物ではこのような用字用語に表記を統一する」と、独自のルールを定めている場合も多くあります。原稿を書く前・書いた後に表記方法で迷うことがあれば編集者にご相談ください(もちろん編集者からもお声がけしていきます)。
デジタル時代に必要な「文字に関する知識」
パソコンやワープロソフトの普及によって、一般の人が文章を電子データとして作成し取り扱う機会が格段に多くなりました。すでに「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代も登場し、生まれたときからICTに親しんで育ってきた人たちも少なくありません。しかし(むしろ、だからこそ)文章や文字をデジタルデータとして取り扱う際のかなり重大な間違いが間違いとも認識されず、誤った慣例として通用してしまっている現状があります。原稿執筆の際にはこうしたことにも注意していくことで、読みやすさが格段に向上するのです。
パソコンやワープロソフトの普及によってもたらされた最もよく見られる間違いの一つは、記号類の誤用です。頻繁に見られるのは
「一」(漢数字のイチ)
「ー」(長音記号)
「-」(全角ハイフンマイナス)
「―」(全角ダッシュ)
の混同による誤用です。お使いのパソコンに搭載されている入力メソッドの操作方法をしっかりと確認し、これらの記号類を間違えないように注意しましょう。
一般的に、ローマ字入力の場合で、キーボードの右上のひらがなの「ほ」のキーをそのまま押して出るのは「ー」(長音記号)です。これを「―」(全角ダッシュ)のつもりで使用している事例が非常に多く見られます。罫線の代わりに使用している事例も見受けられますが、やはりこれは間違いです。
また、電子書籍の場合は様々なリーダー(タブレットやスマホ)で閲覧されることになります。著者さんのお手元のパソコンでは違和感なく見える文字も、読者の閲覧環境によっては気になる場合もでてきます。そういった意味でも、正しい表記の使い方は重要だといえるでしょう。
文章のプロは、こうしたことに留意しながら、内容の面だけではなく体裁の面,つまり読みやすさの上でもクォリティの高い執筆をめざすよう日々努力しています。
以上が、書籍づくりのなかでも重要な「原稿執筆」で気をつけたいことです。
1冊の書籍の文字数は実はそれほど多いものではありません。約4万文字程度でも書籍1冊を作ることはできます。1ページに2000文字書き込めるページ設定で執筆している場合は、30ページもあれば4万文字にはなるでしょう。
原稿を書き進めること自体は、内容や構成のイメージが頭の中に出来ている場合にはそれほど時間はかからないかもしれません。ただし、書きながら推敲し、書きながら再チェックを繰り返し、少しでも分かりやすい原稿へとブラッシュアップしていく作業は想像以上に多くの時間と集中力を必要とします。才能という面もあるのかもしれませんが、やはり「書く」ということは繰り返し繰り返し書き続けることでクォリティも上がっていきます。まずは書き始めないと何も始まらない、と最後にお伝えさせていただきます。
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