【書籍のつくり方・基本編】編集者が「編集」でやっていること

編集者の仕事とは

これまでこのブログでは「書籍企画・目次づくりについて」「原稿執筆」についてご紹介してきました。今回は「編集」についてご紹介します。

「編集者」と聞くとその仕事ぶりについて、なんとなく華やかでクリエイティブなイメージを持たれている方も多いかもしれません。このページでは、「編集」には、実際にはどのような仕事があるのかを簡単にご説明します。


まず、編集者の仕事内容をざっと列記しましょう。

  1. 出版企画を立案する
  2. 予算の確保と管理・スケジュール管理を行い、制作を進行する
  3. 本文・記事の制作を行う(著者と打ち合わせして発注する・みずから取材執筆する・カメラマンやイラストレーターの手配を行う等々、素材としての原稿をつくる作業)
  4. できあがった原稿を「編集」し、書籍や雑誌の体裁に具体的につくり上げていく
  5. 著者や印刷所などとのやりとりを重ね校了まで持っていく

編集者の仕事を本づくりの流れに沿って挙げてみるとこのようになります。

およそ華やかとはいえない地味な仕事の積み重ねであることがお分かりいただけるでしょうか。一冊の本をゼロから生み出して世に送り出すには相応の労力がかかり、携わる人の数もけっして少なくありませんが、それらをすべてマネジメントしていくことが編集者の仕事なのだと言えるでしょう。(マネジメント、、といえば響きはよいですが、実際は細々した雑用やチームの狭間に落ちてしまいがちなタスクをフォローしていくのも重要な仕事なのです。)



編集の実務とは

一般的に「編集の仕事」と言えば、実務の上では上記の「4.できあがった原稿を「編集」し、書籍や雑誌の体裁に具体的につくり上げていく」が中心となります。ここでは原稿の編集について、編集者は何をやっているのかをご紹介しましょう。

1.原稿整理

まず、原稿をよく読みます

しっかり読みながら、誤字脱字などがないかどうか、事実関係の誤りや内容におかしなところはないか、などを確認し、必要に応じて加筆修正していきます。後に「校正」や「校閲」のプロセスを経て文字の誤りや内容に関してチェックしていくことになりますが、あらかじめ本文のクォリティを高めておくことが大切です。

著者さんはもちろんある程度推敲を重ねて原稿を仕上げていますが、第三者(編集者)の目が入ることで内容に変化が生じることもあります。一冊の本は、著者と編集者との共同作業の産物といえるでしょう。

原稿内容や見出しがより分かりやすく、より伝わりやすいものとなるように、アイデアも出していきます。より良い原稿とするために、この段階で、著者さんに原稿加筆や修正のお願いをすることもよくあることです。

また、「表記統一」という、本書の中で使う用字用語を揃えていく作業を行います。たとえば、一つの書籍の中で「めざす」とかなで書いてあるところと「目指す」と漢字を使って書いてあるところが混在していると、読みにくく見苦しいものです。同一ページに存在しているとなおさらです。これらをいずれかに統一していきます。

こうした作業において、今日パソコンやICTのスキルは欠かせません。Microsoft Wordのような文書ソフトを使いこなすのみならず、各種調べものについてはネットリテラシーも必要ですし、またデザインやレイアウトに関するアプリケーションソフトの知識も求められます。最近では同時更新が可能なクラウド上のドキュメントサービス(Google docsなど)を活用した原稿更新を行うこともあります。

2.割付(わりつけ)

いわゆる書籍のページレイアウト(デザイン)を指定していく作業です。1ページの文字詰めは1行何文字×何行であるか(それ自体は「企画」の段階で決められていることがほとんどで、そこから総ページ数が計算されています)、本文の書体は何を使うか、見出しはどのような書体を使い行ドリや字下げはどうするか、といったことを指定していきます。写真や図版や表組があればどこにどのように挿入するのかといった判断をし、「テキスト原稿」から「印刷できる状態の書籍データ」へと整えていきます。

写真・図版については、著者さんとは別にデザイナーと連携し、どういった画像を作るのかを指示し、できあがった画像についてのチェックも行うことがあります。

印刷所は、この指定に基づいて、整理された原稿を誌面につくり上げていく作業(「組版」と言います)を行います。ちなみに編集者が原稿整理を済ませて印刷所に原稿を渡すことを「入稿」と言います。こうした作業についても、印刷所も出版社もコンピュータ化されたシステムで行っていますので、やはりそうしたICTスキルが必要となってきます。

入稿や組版については次回以降の記事でご紹介しましょう。


駆け足でご紹介しましたが、以上が「編集」という仕事の最も分かりやすい一例です。このページの冒頭でもお伝えしたように、編集者の仕事は多岐にわたっており、原稿編集はあくまでその仕事の一部です。

原稿が書きあがってから書籍のカタチになるまでには意外と細かな作業があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
弊社の出版サービスの一部でもそうですが、専任の編集者を付けずに著者さんが編集までを完了させるパターンの出版形態もでてきています。その場合は著者さん自身がここに書いたようなチェックや調整をしっかり考えていくことが非常に重要です。原稿を書いてそのままえい!っと書籍のカタチにしてしまうと、やはり読者にとっては少々完成度という点で気になるものになってしまう場合が多いのではないでしょうか。

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